アベノミクスの成果?

第二次安倍政権の2012年から現在2020年まで7年8か月。

アベノミクスで、本当に日本経済は良くなったのだろうか?


主な経済指標の推移をみてみよう。(2020年8月29日朝日新聞朝刊紙面より)

実質GDP年換算 498兆円(2012/10〰12)→485兆円(2020/4〰6)

潜在成長率 0.8%(2012/10〰12)→0.9%(2020/1〰3)

日経平均株価 10,230円(2012/12/26)→22,882円(2020/8/28)

為替相場 85円36銭/ドル(12/26) → 106円06銭(8/28)

実質賃金指数 104.5(2012年平均)→99.9(2019年平均)

有効求人倍率 0.83倍(12月)→1.11倍(6月)

完全失業率 4.3%(12月)→2.8%(6月)

日銀保有資産 →約4倍の670兆円


また、野口悠紀雄先生は、ツイター(2020年8月30日)で下記のように述べられている。

(1) 2012年、#中国 のGDPは、日本の1.4倍だった。2019年、中国は日本の2.9倍になった。アベノミクスの期間、#日本経済が停滞 して中国が成長したから、こうなった。 

(2) 成長したのは中国だけでない。2012年、#米国のGDP は日本の2.6倍だった。2019年、米国は日本の4.0倍だ。アベノミクスが何をもたらしたかについて、こうした数字ほど雄弁なものはない。 

(3) 毎月勤労統計調査によれば、2012年の #実質賃金指数 は104.5。これが2019年には99.9となった。7年間で4.4%の下落。GDPは低率とはいえ成長したが、#実質賃金はマイナス成長。

 (4) #人件費 を圧縮したので、#企業利益 が増加した。#利益剰余金 (よく内部留保といわれる)は2012年の250兆円が、18年には450兆円を超えた。しかし、使い途がないので、#現金・預金 の保有を増やした。残高は、150兆円が200兆円程度に増加。

 (5) 企業利益の増加で #株価 が上昇し、年金積立金と #日銀のETF購入 がこれを支えた。ETFを購入している中央銀行は日銀だけ。

 (6) #日銀 は、国債を年80兆円程度買い上げるとしていたが、購入額は2017年頃をピークに減少し、19年末には12-15兆円程度に縮小している。つまり、#異次元金融緩和の量的緩和は、すでにひっそりと終了している。 

(7) #日銀のETF購入 について、#OECD の2029(→19?)年4月の「対日経済審査報告書」は、「市場の規律を損ないつつある」と批判している。 

(8)2012年の国際経営開発研究所( IMD )の #世界競争力ランキング で、日本は27位だった。2020年版では、日本は過去最低の34位となった。

 (9) #円安 は #異次元金融緩和 のためと言われることが多い。しかし、円安はすでに2012年10月から始まっている。これは、ユーロ危機の収束で、リスクオフ(円に投資)の流れが終わったからだ。 

(10) 2013年から20年の間に #雇用者 は約500万人増えたが、その43%は #非正規 だ。これによって賃金上昇を抑えることができた。それによって企業利益が増加した。

 (11) アベノミクスの期間での企業売上高は、8.4%増。あまり高い伸びではないが、人件費伸びを4.9%に抑えられたので、営業利益は約40%増加した。 

(12)生産性を上げるのでなく、#非正規・低賃金労働 に頼る構造は、労働市場の不安定化をもたらす。事実、今年1月から6月の間に、非正規は約100万人減(正規はむしろ増えている)。 

(13)アベノミクスの期間に増えた #非正規労働者 217万人のうち100万人はすでに職を失った。失業率がさほど高まらないのは、求職活動をしないからだ(1月から6月の間に、失業者は30万人増。非労働力人口は62万人増)。

 (14) #生産性 を向上させることなく、#非正規の低賃金労働 に依存して #企業利益 を増やし、#株価 を上げた。負の遺産として、低生産性が放置され、労働市場が不安定化した。


これらから、見えること。それは、国の経済力の明らかな低下と、格差拡大である。

・財政は悪化。GDPは増えず(他の先進国はおおむね増大している)

・株高の恩恵は大企業、富裕層へ。日銀は債務増大し、高リスクに。

・賃金は増えず。中間層以下の国民は実質所得が低下。消費税増大分は、大企業法人税減税に流れた。福祉も後退、社会負担の増加。

・20%以上の円安により、輸入品価格上昇。海外旅行の減少。「日本人はおおむね貧乏になった」

・雇用は若干改善。しかし、高齢者や共稼ぎの増加は、生活が苦しくなっていることの証し。非正規雇用が増え、コロナ解雇もあって、著しく雇用が不安定になっている。


アベノミクスは、完全な失敗である。

森から世界を見る

著者:森のきょろん 企業研究所に従事したあと、現在は、数理工学を専門とする知財コンサルティング職務を行なっています。ふだんは海の近くに住み、ときどき森を彷徨して思考に没入します。

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